自分の輝ける場を見つけた人の話

大学の同級生が秋葉原メイドカフェでバイトしており もうすぐ辞めるというので友人と二人で行くことになった。

私も友人もメイドカフェ初体験。ドキドキし、私と友人のどちらが先にお店のドアを開けようかとモジモジしながら店内へ。
すると「いらっしゃいませ。お嬢様!」と、お決まりのフレーズ。
席に通され店内の仕組みや世界観に関する説明を受け、店内を見回すとメイドの友人は他の客を接客中。


注文を受けていただいたメイドさんはまた別の人であったが、注文したオムライスを運んできてくれたのは友人だった。友人がその場で教えてくれた通りに一緒におまじないを唱え、オムライスにかわいくイラストを描いてもらった。
大学でもその友人はゴスロリの格好で登校していたりとかなりのオタクであったのだが、カフェでも存分に自分を出し切り、れっきとしたメイドさん(初体験の私が"れっきとした"なんて言うのもおこがましいが)になりきっていた。

その後も食べ終えた食器を持っていってくれるメイドさん、隣のお客さんに接客するメイドさん・・・。友人以外にも複数のメイドさんの接客姿を見たが、私の友人メイドさんは他のメイドさんと明らかに違う点があった。
それは「あまりにも接客姿がしっくりきている」という点。深く掘り下げると、他のメイドさんは恥じらいがあり「この子普段は普通の感じなんだろうな。」とこちらに想像させてしまう隙があったのだが、私達の友人に至っては「この子普段からこのまんまの感じでいるんだろうな」と思わせるほど、自分を解放し、腹をくくってそこにいたのだ。
終いには他のお客さんから指名をされ、一人分くらいしか立てない小さなステージでスポットライトを浴びながら歌って踊っていた。その瞬間は彼女のためだけに音楽とスポットライトが向けられていたのだ。

先程少し触れたが、友人は普段大学にもフリフリのゴスロリや女の子が吐血しているデザインのTシャツを着てきていた。ファッション系などの大学ならよく聞く話だが、そこは至って普通の4年制大学の福祉学科。友人ははじめは同じ地元の少しイケイケなな女の子たちと共に行動していたが、友人の輪広がるにつれグループ内で身なりや趣味などに対し陰口を言われ、傍から見ても気落ちしていることが伝わってきた。結局友人メイドは他の子と仲良くするようになったのだが、友人メイドは「うちのことバカにする奴はだいたい〇〇(以前はCMもやっていたような若い女性に人気のファッションブランド)のショッパー片手に歩いてんだ。」などとことあるごとに言っていた。
そんなエピソードなどが私の脳裏にもあったがらこそ、友人がメイドカフェで輝いている姿に思わずかっこいい・・・と感動してしまった。
自分の輝ける場所を見つけたんだなと。

まさかメイドカフェに来て「かっこいい」という感情を抱くとは。人生の縮図を目の当たりにして感銘を受けるとは。